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2006年10月28日 (土)

『ワールド・トレード・センター』観賞

 米国9.11事件の映画『ワールド・トレード・センター』を観に行ってきました。
 先週鑑賞して、どんなコメントをしようかと考えましたが難しいです。 一週間たって、とりあえず深く考えることはやめて頭の中にあるものを 書きます。
 映画のストリーを見たまま書いてしまったりしていますのでご注意ください。

Wtc_totsunyu  
 『ユナイテッド93』に引き続き、かの同時多発テロ9・11事件の映画『ワールド・トレード・センター』。
 今度は、事件当時救助活動あたり大事故に巻き込まれた警察隊のお話。

 いつものように訪れた静寂の朝を突き破るように起こった、9・11同時多発テロ事件。

 

 主人公、 ジョン と ヒメノ は港湾警察に所属していた。
 ワールド・トレード・センタービルへの航空機衝突事件発生直後、彼らはテロの標的となった現場に数名の隊員とともに救援活動のため出発した。
 センター・ビル周辺はみたことも無い恐ろしい光景と化していた。 ビルは煙を上げ空からコピー用紙やいろいろなものが降りつづけて。。。 ビルにの上階には避難できない人たちが閉じ込められている。 

 彼らは、人々を助けるために十分な情報も無いまま、準備を整え現場に向かう。
 勇敢にも地下街からビルに入って行く。 がまもなく予想だにしなかった大惨事が彼らを襲うことになる。

Wtc_kyusyutsu  米国が誇る経済の象徴そして文化の中心、そのセンター・ビルの倒壊。

 ビルに入るや否や虚しくも彼らは倒壊したビルに飲み込まれ、瓦礫の中に生き埋めになってしまう。
 いったいどうやって生きていたのか、瓦礫の下敷きになりながらも九死に一生を得たのが主人公の二人だった。

 
 身動きの取れない状態での長いながい苦闘。
 家で待つ大切な家族たち。
 愛する人たちのため、彼らは一心に生きようと …。
 身体は何かに押さえつけられまったく動かない。
 苦痛。
 仲間の死。
 動けない身に起こる恐怖、時々起こる瓦礫の崩壊。
 何かに引火して起こる火柱。

 肉体的にも精神的にも極限状態にある中、二人は、声だけが聞こえるところに埋まった相手を思いやり、言葉を掛け合いながら、必死に生き続けようとした。

Wtc_kazoku  二人には共通点があった。 大切な家族、そして妊娠した妻がいた。
 愛する人のために生きようとしたのだ。

 
 苦闘の末、2人の勇者は救出される。
 それは、救出活動が中断されたあと、自ら駆けつけた海兵隊員と有志による奇跡的な救出劇だった。

 
 
 ストーリーの大半は、瓦礫のしたじきになり、顔と手しか動かせない状態で助けを待つ二人の生き地獄の描写だった。
 そして残された家族のあきらめ切れない祈りだった。

 
 ジョンはついに助け出されようというとき、生死の間に立ちもうろうとしながら、救助隊員の呼びかけにではなく、意識の中に見え隠れする奥さんの囁きによって息を吹き返した。「 You can do it ! 」
 ああ、そんな簡単な言葉が力を発揮するんだ、と 思った。
 でもそれは言葉ではなく、本当に愛している人がくれた力だった。
 人を愛するということはそれほどに大切なことなのだ。

 救出されてから2年間で受けたという 27回の手術が、そのときの肉体の損傷状態を物語っていた。 精神が肉体を生かしたということなのだろう。

 
 
 この映画の面白いところは、ストーリーが終始 ジョン と ヒメノ の視線で描かれていることだ。
 テロ事件に関する事柄はまったくと言ってよいほど出てこない。
 港湾警察の彼らに届いた情報だけでストーリーが展開する。

 映画は語っていた。
 「決して許されることの無いテロ行為、その中に人間の最大の悪を見たが、同時に人間の善を見た。
 それは私たちが忘れかけていた善。 だけどそれは当然のこと。」

 そうだ、我々もその当然の善を忘れかけている。
 人は集団で生活し、助け合って生きている。
 人に頼ることは忘れないくせに、助けることはすぐに忘れる。
 そして、自分の意に沿わなければ、けなし、文句を言いついには人を傷つける。

 そんな無残な目にあわなくても思い出さなくてはならない。
 そんな目にあわないと思い出せないほど普通の膳から遠ざかっているのか我々は。
 
 
 
 さて、主題はいったい何だったのだろう、あの惨劇の中で、一生懸命戦った人が居たことを記録にとどめようと言うことだろうか。

 二度とあのような目に合わないように、どうすれば良いのだろうか。 警備を強めるのか、テロ組織を叩き潰すのか? 危険思想の芽をつむのか?
 敵と呼ばれる彼らにも主義主張があり、また、ひどい目に合わされているという意識があることを忘れてはいけない。 今ひどい目に合わされた世界文明の中枢、アメリカの人たちよりも…。

 そして、絶対に正しい主義主張などありえないということも、忘れないで欲しい。 立場が変われば善はあくとなり悪も善となる。 世界の中心はアメリカではないことを絶対に忘れないで欲しい。

 こんな映画をみて、こんなことを考えている私はいったい何者なのだろう。
 私って、反米派?!?!
 いやいや、もっと素直にならなくては … … 。

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コメント

いい映画だったみたいですね。かつさんの思いが伝わってきました。

「絶対に正しい主義主張などありえない」これを世界中の人が理解し行動したら、戦争もテロもなくなるのでしょうね。

でも難しいことだと思います。国とは言わず、身近な個人個人でも「自分が正しい、中心」で動くのですから。

9.11、私は上海に出張していてテレビで、燃え上がるセンタービルを見て驚いたのを思い出します。しばらくすると、2機目が突っ込むシーンが映し出され、鳥肌がたち声も出ませんでした。

もう、こんな悲惨なことは起きないで欲しいですね

投稿: 夕凪 | 2006年10月29日 (日) 00時03分

かつさんが、先週「映画観てきましたけどすぐにコメント書けません」ってBlogに書いてらした時から、な~んとなく、そうだろうなあ~と思ってた通りのコメントでした。
かつさんの十二分に正直で素直な感想現れてますよン。^^

恐らく、アメリカに対しては私もかつさんと殆ど同じ考えだろうと思ってます。私も反米派?!?!(^^)
と云うか、色んな意味でもう、アメリカの追随止めようヨ!JAPAN!って感じですかね。
それで、WTCは観るの止めにしちゃいましたー(みアネよ)
これから、トンマッコル観に行ってきま~す。
日曜日だから、席取れないかもしれないけど(心配)


投稿: chie | 2006年10月29日 (日) 08時48分

私はあのとき2機目がセンタービルに突っ込むその瞬間を
リアルタイムでTVで見てしまった。。
1機目のテロによりテレビで緊急ニュースが流れていた
ちょうどその時でしたね。。

この映画、監督がオリヴァー・ストーンというだけに
どんな風に何を描いているのか、かなり気になります。
それと同時になんとなく観たくない映画でもあります。
アメリカ映画は(特に戦争もの)結局”アメリカ万歳”的な
映画に作られていることが多い気がするんですよ。
映画で戦争が悲惨に描かれていても、心に響く言葉に
「うんうんそうだなぁ~」と納得させられても(それはそれで
素晴らしいんだけど)結局戦争はダメだという意識よりも
主人公たちを通して自分達(アメリカ)を正当化させるような・・・
そんなマジックにかけるというか。。ひねくれてる?私・・。(^^;
う~ん・・けどオリバーストーン気になる。私もやっぱり観てみたい。
この映画、何をどう捉え何を思うのか。。

かつさんの感想を読んでますますかつさんって素敵だ~
と思いましたよ(笑)

投稿: aki | 2006年10月30日 (月) 20時16分

わぁ、みなさん
コメントありがとうございます。
あの事件が起こったときは、身の毛がよだつ思いでテレビを見ていましたよね。
最初のうちは何が起こっているのか分らない状態で、みていて、そして2機目、嘘だろって思いながらも信じるしかない現実を見せられて食い入るように画面を見つめていたのを覚えています。
そしてビルが砂になったように崩れ落ちて。。。

昨日の演奏会の加減もあって、今私の脳はウニのようになっています。 今日はとりあえずお礼のひとことだけにさせていただいて、あらためてレスさせてください。
ありがとネ、みんな。

投稿: かつ | 2006年10月31日 (火) 01時36分

私もあの事件はテレビでLIVEで見ていました。
家族はみんな寝ていて、ひとりでとても怖かったのを覚えています。
見かけによらず怖がりで、ホラー映画やお化け屋敷は、大嫌いなんですが、それよりもっと怖いのがこういう現実に起こりうるもの。
昔、「日本沈没」を観て、しばらく怖くて後悔したことがあるので、こういう類の映画は観ることができません。

ちゃんと現実を見つめて、いろんなことを考えていらっしゃる方たちを尊敬します。

投稿: 優 | 2006年10月31日 (火) 23時14分

夕凪さん、こんばんは

先月だったかの『ユナイテッド93』より、家族愛なんかを描いていて感動できる映画だと思って観に行きましたが、そうでも無かったです。
映画としては、主人公の心理描写などが、しっかりしていていい映画だったと思います。

こういう悲惨なことを起こさなくても良いように、世界中が仲良く暮らしたいです。
本当に悪いことをする奴らなんですけど、その行為は絶対に許せないのですが、なんでか、奴らの肩をもってしまうのです。私。

投稿: かつ | 2006年11月 1日 (水) 01時18分

chieさん、アンニョン?

しっかり私の特性を見透かされてますのね。
チョッと恐かったりしますが、気が合うようですね私たち。

最近感じるのは THE JAPAN もそうなんですが、極東 ASIA の世界における役割の重要性です。 欧米人には無い素晴らしい協調性と自己だけでなく他己による自己実現とでもいうのでしょうか、、とにかく我を主張しすぎずに幸せになれる人種がもっと世界を先導することが必要ではないかということなのです。
そのリーダー的位置付けにあるはずの JAPAN がもっとしっかりしなければダメですね。

『トンマッコルへようこそ』面白そうですね。
また、感想見に行きますね~。 そっちも楽しみ ^o^)

投稿: かつ | 2006年11月 1日 (水) 01時32分

aki씨 요즘 어때요?

私、映画のことはあまり詳しくないのですが、オリバー・ストーンって良い監督らしいですね。
そういう意味では十分に見る価値はあると思いますよ。

おっしゃるアメリカ万歳的な色合いは、身構えるほど強く無かったです。 あの主人公になった人たちのご本人の意向をかなり重視してストーリーを組み立てたと聞いています。 そして事実に基くこと以外はあまり色をつけないという被害者の方の意向を踏んで制作されたらしいです。
それでも見え隠れする「アメリカは世界の警察」的な意識が鼻につく今日この頃の出来事たち。 どうにもなりませんね。 それだけに私自身自己嫌悪に陥っているのです。(; ;)

> かつさんの感想を読んでますますかつさんって素敵だ~
> と思いましたよ(笑)

うっ、嬉しい! でも、そこで笑わなくてもいいのに。。。

投稿: かつ | 2006年11月 1日 (水) 01時47分

優ちゃん、こんばんわっ!

う~ん、あの時は自分は冷静のつもりでも心臓がドキドキして、この世に地獄というものが有ったんだって感じてしまう映像でしたよね。
映画では、もっと現地に近くなるのでもっと恐いですよ。心臓止まりますよ。ほんま。

ところで、『日本沈没』見に行ったなんて、歳ばれるよ~。 せっかく優ちゃんって呼んでるのに。

それからね、ここに遊びに来てくれる方たちはね、素晴らしい皆さんですよ。 リンク張っている「美しいblogたち」のブログの管理人さんです。 みんな私の大好きなブログさんです。 良かったら覗かせてもらってみてください。

投稿: かつ | 2006年11月 1日 (水) 02時02分

>ところで、『日本沈没』見に行ったなんて、歳ばれるよ~。
しまった!でも、かつさんよりはだいぶ若いですよー。
映画館で見たんじゃなくて、テレビだったと思います。父がああいう映画が好きだったので。

私は、今の日本が繁栄しているのは、アメリカのおかげと思っています。
そして、中国や韓国の人たちが日本人を嫌う理由も、私なりに理解しています。
昔ひどいことをして戦争を起こし敗戦した国が、被害を受けて勝利した自分たちの国よりも繁栄していたら、いい気がしなくてあたりまえ。
そんな日本がアジアのリーダーになれるとは思えないのですが・・・

そういった不公平感、貧困、などがある限り、トラブルはなくならないんでしょうね。

という話をチョット前にニュースを見ながら家族みんなで話していました。

他の方たちのブログもぜひお邪魔しようと思います。
突然コメントなんてしちゃったりしていいのでしょうか?

投稿: 優 | 2006年11月 1日 (水) 19時49分

優ちゃん、こんばんは

『日本沈没』見たの、テレビだったのですかぁ。
どこかの映画ブログさんとは、この話題でお互いの歳を
確認しちゃったもので…。 失礼しました!

「日本が繁栄しているのは、アメリカのおかげ」ですね。
そのとおりですよ、きっと。 でもね、私が気になるのはね、現在のアメリカが目指す平和維持の方法が武力に頼りすぎているということなのですよ。(あるいは平和維持が目的ではなかったりする場合もある。)
 もう一つだけ、日本がアジアのリーダになれないと思ってしまうのは、対韓国、対中国に限られた(政治的な思惑が色濃い)日本きらい嫌感情とマスコミのせいだと思うのです。 日本がリーダーになれる素質は十分にあります。 但し、今の日本ではどうでしょうか? 中東地域に戦争しに行ってはいけません。 原爆を投下された痛みを忘れずに、堂々とした態度で平和への願いを(口先ではダメですが)うったえ続けることができる筈の国だと思っているからです。

いろいろな考え方があるので一概には言えませんが、私は嫌いといわれても一生懸命「好き」のメッセージを投げつづけたいと思っています。 そして本気でアジアを愛する日本の国になったときにリーダーとなりえるのだと思います。

ごめんなさい。
ブログでのこの議論はすごく危険なので、言葉を選びながら書いています。ひょっとしたら優ちゃんのコメントも、このResもすぐに消去することになるかもしれません。
そのときは、ごめんなさいね。
でも、これ私の考え方です。

> 他の方たちのブログもぜひお邪魔しようと思います。
> 突然コメントなんて …
もちろんOKですよ。 喜んでくれます。
不安だったら「かつさんの所からきたよっ」て言ってね。
コメントもらったときの気持ちは優ちゃんと同じ筈です。

投稿: かつ | 2006年11月 2日 (木) 00時34分

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