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2006年12月 9日 (土)

韓国体験記(17) - 人参の里금산錦山へ(後編)

 ホテルのオジサンと人参の里금산(錦山)クムサンに行ったお話しの後半です。
 ・・・・ 
P4050010_2  

 峠の休憩所には食堂やみやげ物屋があり、私たちはそこでひと時の休憩を取った。
 缶ジュースを一本飲むと今度は山の向こう側へ下ってゆく。

 

 20分ほど下っただろうか。 黙って運転していたおじさんがニコニコしながら言った。
 「タワッタ、タワッソ(ついた着いた)」
 「 ん?  (…タワッタという言葉を知らない私…)」
 「チョチョギォ(あっちの方だ)」
 「 … え? なに、どこ? (…理解した…) 도착 했어요?」
 確かに建物がにわかに増えてきて町に着いたことが感じられた。
 「ト、シップンチョンドジ(もう10分程度だろ) ムヒョッヒョヒョッ(笑)」
 「 … … 」
 「バァ、クチョク(みろ、そっち)」
 商店街が見えた。

 私たちを乗せた車は、急激に速度を落とし、歩道の段差に大きく揺れながら市場の駐車場へと吸い込まれた。
 そう広くは無い駐車場はいくつかのスペースがあいており、考えるまもなく手近の白枠内に停車した。 少し植木を押しているようにも思えたが、それは私が拘る事ではなかった。

 ドアを開けて足を踏ん張りながらシートに沈んでしまった腰を上げると、秋の冷たい空気が肌を刺激した。
 殺伐とした風景はレンガを基調とした建築物と、やはり埃っぽい灰色の歩道、すでに葉を散らしてしまった街路樹がそうさせているのか、自分の住む街の風景とどこか違っていた。

 何処へ連れて行ってくれるのか、暗い建物の裏口から中へ。
 外の空気とは異なり、そこには人の気配があった。

 さかさかと早足に建物の中を歩くおじさんに、とにかく付いて歩く。
 狭くて少し暗い通路の両側には、きのこ類の乾物、高麗人参、人参酒を売る店が並んでいる。それぞれ隙間無く並べられた商品にうずもれてアジュンマが一人ずつお客を待っている。。

 おじさんは、そのうちの一軒の前で止まった。
 アジュンマとおじさんとのやり取りが続く。 あたりを見物している私は呼ばれると、褐色の液体が入った150ccぐらいのビニルのパックを受け取った。 人参酒のサンプルと思われる。
 何かとたずねても、とにかくまあ飲め、というのでパックの端を切ってご馳走になったが、最後までのむには、なんともいえない苦い味に耐えなければならなかった。

 そこは人参を中心に漢方薬を売っている市場だったようだ。
 後で聞くと、おじさんの親戚がやっているお店だということ。 なあんだ。
 帰りに瓶に入った人参のお酒を貰った。 きっと自分では買えないような代物だ。
Ninjin_bin  そのお酒は今も我が家の居間のサイドボードのガラスの向こうにかざられている。 黄色いお酒の中に複雑な形をした高麗人参が一つ。 何かに効きそうな風格のある瓶。 まだ一度も飲んでみたことは無い。

 市場の中には無数に同じようなお店が入っているのだが、何せまあ、そのようなものを買う気で行っていないからどれを見てもフーンと感心するだけだった。

・・・ 
 さて、道を隔てて斜め向かいには人参市場があり、こちらは感動ものだ!

 卸売り市場だろうか、人参、人参、人参。 そして人参。
 少しずつ色や形の違う人参が、通路の両側に山のように積まれている。

「サジヌル チゴド … (写真とっても…)」
という私の言葉をさえぎるように。おじさんが満面の笑みで
「チゴ、 チゴ (撮りなさい、撮りなさい)」
と促してくれた。

P4050012

 一回りしてから、せっかくだからということで、お勧めの人参を一箱包装してもらった。 しっかり木製の化粧ケースだ。
 一本が10~15cmぐらいの胴体の太いもの。
 日本で買ったら一本数千円はするのだろうか、大小混ぜて3千円で20~30本箱に入った。

 …… 持ってかえって親戚で分けたが、しばらくはこの独特の苦い味の人参を頑張ってご馳走にならなければならなかった。 ……

 おじさんも何処かで何か仕入れていたようだが、私が人参を購入すると、ウンウンと満足げに撤収の合図を出して、駐車場への道を急いだ。
 どんなときでも目上の人はマイペースで、どんどん先を急ぐ。 それでいて不思議と優しい。 まさしく私の知る韓国人の典型だった。

 
 帰りも同じ道を峠を越えて帰ったが、今度は土産物屋によった。 そして、またまた慌しく商品を見て回ってすぐ帰路に着いた。
 おじさん突然、石で作った亀の置物を購入して私に手渡した。 선물 お土産だって。

Ninjin_kame  
 おじさんの話によると、このVIP待遇は、娘さんから私たち日本人客へのプレゼントだったようだ。 おじさんが「娘があんたたちにサービスしろといってねえ。」といっていた。 この言葉は、私たち外国から来た人懐っこい珍客に対する愛情と、本当は戦争時分のことが心のどこかに引っかかっているおじさんの自分への言い訳だったのかもしれない。。。

 私も口を合わせて、「딸 분 께서는 안부 전해 주십시오. 娘さんには宜しくお伝えください」と答えると、こらえきれない笑顔でうなずいていた。 娘さんのこと、誰より可愛いのだろう。

 まさかこの後、私と娘さんとの文通が始まろうとは…。
 (怪しい関係ではないので念のため。)

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[ちょっと物知り韓国文化]

 人参市場で写真を撮りましたが、売り場のアジュンマたちはカメラを向けるとすばやく隠れてしまいます。 磯場を歩いているとフナ虫がすばやく逃げて隠れるのと似ています(ちょっと言い過ぎかもしれませんが)。
 ある本によると、そんなにまでして働いている姿を見られるのが嫌だとか言うことです。 韓国の女性はとにかくよく働く印象があるのですが、本人たちは旦那の稼ぎだけで悠々と暮らす姿が理想的で、そのギャップを恥かしいと感じ、ご近所には分からないように働くのが一般的なのだそうです。
 働いている姿は結構ステキなんですけどね。

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コメント

一気に後編、面白く読ませていただきました。
文通が始まってからの四方山話もちょっと知りたいです。興味津々。
ところでお願いが有るのですが・・。
この「韓国体験記」私の韓国のDAUMブログに韓国語で紹介(転載)したいのですが、許可いただけないでしょうか?厚かましいお願いで恐縮ですが・・既に韓国語に訳してありますので、かつさんのOKをいただければ直ぐ転載したく存じます。

投稿: madray | 2006年12月 9日 (土) 12時19分

madrayさん、こんにちは。
面白いなんて言っていただいて嬉しいです。
更に、韓国語で作っていただいたなんて光栄至極、
全く問題ありません。
一瞬、韓国語に訳しなさいという要求なら、半年がかりだなぁとうろたえましたが、madrayさんの韓国語なら手数料払いたいぐらいです ^^)。
ありがとうございます!

投稿: かつ | 2006年12月 9日 (土) 16時06分

かつさん、お言葉に甘えて今日は前編を私の韓国のブログの方に転載させていただきました。機会があれば一度お目通しください。ありがとうございました。
http://blog.daum.net/madray/8301076

投稿: madray | 2006年12月 9日 (土) 20時31分

お~その後の文通が私も気になるなぁ~~(笑)
それにしても写真の様子、ほんと人参人参ですね^^

かつさんが記事の終りにちょこっと書いてくださる
「ちょっと物知り韓国文化」が私すごく好きなんですよ。
毎回「へぇ~~(@0@)」って思いながら読んでます♪
あ、もちろん本編も楽しく読んでますけども。^^

これからmadrayさんちの隠れ家に覗きにいってきま~す。

投稿: aki | 2006年12月10日 (日) 00時20分

凄い人参ですね。 コンクリート塀で分けられた商スペースも面白い
でもフナ虫はないですよ、フナ虫は(笑) 吹きだしてしまいました。

お土産の人参、どんな料理でご馳走になったのでしょうか? 日本のメニューでは美味しく食べるのは難しそうですが。

なぜ娘さんから? 文通? もっと聞きたいですね(笑)

投稿: 夕凪 | 2006年12月10日 (日) 01時12分

すみません、まとめてRESさせてください。

☆ madrayさん ☆
 duamの方、見てきました。
 韓国語になると、また面白いですね。
 おお、こういう表現になるんだ、とか感心しながら興味深く読ませていただきました。私だったら翻訳できそうになりい部分もさらりと言い換えられていたりさすがですね。
ありがとうございました。

☆ akiさん ☆
 [ちょっと物知り韓国文化]は少し気を配って書いています。 なんでもないことで、意外と知られていなさそうな事とか、かつて自分が感銘を受けたことは何だったか思い出しながら話題を決めています。
 とはいっても思いつきの域ですが。。。
 嬉しいコメントをありがとうございます。

☆ 夕凪さん ☆
 人参ばっかりで面白いでしょ。
 この右側の壁の向こうは、また景色が違って面白かったのですよ。 もっと写真があったら良かったのですが、元々私は、写真の枚数少ないのです。いつもシマッタって思うんですよ。
 フナ虫はチトひどかったですかね。^^

 人参ですね、味噌汁に入れたり、輪切りにしてバターいためにしたりしていただけます。 まあ、なかなか苦戦しますよ。かなりくせのある味ですから。 その他、色々な料理に試してみましたが忘れてしまいました。

☆ 最後に ☆
 文通のこと、ついつい口が滑ってしまいました(^^;;;
 秘密ですよ!
 また折をみてって事でご容赦ください。
 ただ、現在は続いていませんですハイ ( ' v ' )ゞ

投稿: かつ | 2006年12月10日 (日) 23時27分

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